FXのレバレッジとは?おすすめのかけ方や計算方法を解説

FXのレバレッジは、口座に預けた証拠金よりも高い金額の外貨を売買できる仕組みです。手元の資金が少なくてもFXを始められるメリットがありますが、損失が出た際のリスクが高くなるためレバレッジのかけ方を十分に理解しておく必要があります。

この記事では、FXのレバレッジの仕組みや計算方法、レバレッジをかける際の注意点のほか、レバレッジ設定ができるFX口座も紹介します。

FXのレバレッジとは?特徴と上限を解説


レバレッジとはテコの原理を意味する言葉で、FXでは口座に預けた証拠金に一定の倍率を掛けた金額まで取引ができる仕組みです。

高いレバレッジをかければ、手元の資金が少なくても大きな利益を狙えるのが特徴。一方で、損失が大きくなるリスクも高まるため、レバレッジをかけずに取引する人もみられます。

FXのレバレッジの上限は?

2021年9月時点では、国内のFX口座で設定できるレバレッジは最大25倍までと法令で定められています。レバレッジを設定するかどうかは投資者の判断に委ねられており、レバレッジなし(1倍)での取引も可能です。

レバレッジに上限を設けている理由は、投資者が多額の損失を被る事態を防ぐためです。レバレッジの倍率を大きく設定すると多額の利益を得られる可能性がある反面、わずかな為替レートの変動で損失も大きくなります。

FXでのレバレッジの計算方法を解説!

FXのレバレッジは外貨の取引数量や証拠金の金額によって決まり、次の計算式で倍率を算出可能です。

レバレッジ=(取引する時点での通貨価格×取引数量)÷口座に預けてある証拠金

1ドル=100円と仮定して、レバレッジの倍率と通貨の取引数量の変化を試算してみます。

証拠金10万円の場合の最大取引数量

レバレッジ 最大取引数量
1倍 10万円分(1,000ドル)
5倍 50万円分(5,000ドル)
10倍 100万円分(10,000ドル)
25倍 250万円分(25,000ドル)

10,000ドルの取引を行う場合の証拠金の最低額

レバレッジ 証拠金の最低額
1倍 100万円
5倍 20万円
10倍 10万円
25倍 4万円

高いレバレッジをかければ、少ない証拠金でも多額の取引が可能です。今回の例では、証拠金が4万円あれば最大100万円分の取引ができることになります。反対に、証拠金の額を増やせば低いレバレッジで取引でき、リスクを軽減できるわけです。なお、国内のFX業者ではレバレッジの倍率が固定されているか、いくつかのコースの中から自分に合ったレバレッジ倍率を選ぶのが一般的です。

国内のFX会社は実効レバレッジでの取引が多い

国内のFX会社ではレバレッジ倍率を指定できない場合が多く、実効レバレッジで取引を行うことになります。

実効レバレッジでは、口座の残高に対して現在のポジションが何倍なのかを算出します。
ポジションは同じでも、口座にいくらあるかによって倍率が変わり、実効レバレッジの倍率が高くなるにつれて、利益率・リスクが大きくなります。

口座残高 実効レバレッジ
10万円 25倍
50万円 5倍
250万円 1倍

1ドル100円から110円になった場合、250万円のポジションは275万円になります。
そのため、実効レバレッジが25倍の場合には、10万円の元手で25万円の利益、実効レバレッジが1倍の場合には250万円の元手で25万円の利益を出すことができるという計算になります。

実効レバレッジを調整する方法

実効レバレッジは口座残高もしくは保有するポジションで調整することになるため、自分で計算する必要があります。

口座残高で調整する場合、レバレッジ5倍で取引をしたいなら口座に50万円を、レバレッジなし(1倍)で取引をしたいなら、口座に250万円を用意しておきましょう。
保有ポジションで調整する場合、元手50万円でレバレッジ5倍の取引をするなら250万円分、レバレッジなし(1倍)の取引をするなら50万円分のポジションを保有しましょう。

FXでレバレッジをかけるメリット

FXでレバレッジをかけると証拠金を超える金額の取引ができるため、少ない資金で効率よく利益を目指せます。

利益率の高いトレードができる

例えば、1ドル=100円の時に手元の資金5万円でFXを始めて、1ドル=110円になった段階でドルを売った場合は、レバレッジの倍率によって利益は以下のように変動します。

レバレッジ 利益
1倍 5,000円
5倍 25,000円
10倍 50,000円
25倍 125,000円

レバレッジが高いほど、少ない資金で多くの利益が得られる可能性があります。得られた利益を証拠金の積み増しに回せば、さらに多くの利益を目指せて資金効率も高まるでしょう。

反面、外貨が値下がりするとレバレッジの倍率の分だけ損失がかさみます。そのため、レバレッジをかける際は後述する注意点を参考にした上で適正な倍率に設定することが重要です。

少ない資金で取引ができる

米ドル円が1ドル100円の際に1万通貨の取引を行うためには、本来であれば100万円の資金が必要になります。

ですがレバレッジの仕組みを利用することで、最低4万円で取引を開始することが可能になります。いきなり100万円で投資するのはハードルが高い、という場合にも、少ない元手で取引を始めることができるため、取引を始めやすいのもメリットと言えます。

いきなり高いレバレッジで取引を行うのはリスクが高すぎますが、レバレッジ2倍の場合でも50万円で取引ができる計算になるので、負担は少なくなります。

FXでレバレッジをかける際の注意点

FXの初心者がレバレッジをかける際は、損失リスクが高くなりすぎないよう低めの倍率から始めるのが無難です。取引で大きな損失を出し失敗しないための注意点を3つ紹介します。

高すぎるレバレッジは避ける

レバレッジを高く設定すると利益が大きくなる反面、取引の状況によっては損失が膨らむリスクも潜んでいます。

各FX会社の必要証拠金は実効レバレッジ25倍で指定の通貨数を取引をする場合の金額です。
ロスカットラインが証拠金維持率100%のFX会社で必要証拠金ギリギリの取引を行うと、わずかに下落しただけでロスカットが行われてしまいます。

FXに慣れるまではレバレッジの倍率を3~5倍程度に抑えて取引するとよいでしょう。

損切りのルールを決める

レバレッジをかけた状態で多くのポジションを持っていると、外貨が値動きした時の損失が大きくなりがちです。

損失が発生すると、つい利益が出るまで粘ろうとしてしまいますが、それによって損失が拡大し、ロスカットラインを割ってしまう可能性もあります。

大きな損失を出さないためにも外貨のレートが50銭下がったら決済する・損失が2万円に達したら決済するというように、許容できる損失(損切りの目安)やルールをあらかじめ決めておくことが、預けた証拠金を守る一つの方法といえます。

ロスカット率を把握する

低いレバレッジで取引をしている場合は、大きな変動が起こらない限りロスカットになってしまう可能性は低いですが、高いレバレッジでの取引にはロスカットのリスクが付きまといます。

注意しなければいけないのが、FX会社によってロスカットとなってしまう証拠金維持率は異なるという点です。同じ金額の取引で同じだけの損失を出した場合でも、FX会社によってロスカットになるかならないかが変わってきます。

新たな口座で取引を行う場合は、ロスカット率が何%なのかを確認した上で、トレードを行うことが大切です。

シミュレーションの活用もおすすめ

FX会社では、口座残高と取引の数量を元に、レバレッジやロスカットになってしまうレートをシミュレーションできる場合が多いです。

通貨ごとの値動きの目安やトレンドが異なるので、分析も行いながら、ロスカットにならないようにレバレッジや証拠金の額を調整しましょう。

レバレッジが選べるFX会社はある?

国内のFX会社は基本的に、実効レバレッジで計算を行うため、レバレッジを指定しての取引ができない場合が多いです。

ですが一部のFX会社では、何種類かのレバレッジコースが用意されており、自分でレバレッジを指定しての取引が可能です。

楽天FXは、5種類のレバレッジコースの中から自分で倍率を指定することが可能です。ロスカット率についても5%刻みで調整することが可能なので、自分にあわせてこまめに設定を調整しながらトレードを行いたいという人に向いています。

また楽天FXでは取引額に応じて楽天ポイントが付与されるので、日頃楽天のサービスを活用している人はメリットが大きいです。

FX初心者は低レバレッジから取引を始めよう

FXのレバレッジは、預け入れた証拠金を超える額の取引ができる仕組みで、少ない資金で外貨取引を始めて多くの利益を得られる可能性があります。レバレッジの倍率は、法令によって最大25倍までに規制されている他、FX会社によってはコースを選んでレバレッジを設定することが可能です。

取引中に一定以上の損失が発生すると、証拠金の追加を求められたり、強制的に取引中の外貨が決済(ロスカット)されたりする場合もあります。FXの初心者は低いレバレッジから取引を始めて、値動きや経済状況の変化の観察に慣れるようにしましょう。